半田ファーム 五十嵐博之さん
Q.酪農の道に入ったきっかけは何ですか?
僕の出身は神奈川県の小田原なんですが、ずっと北海道に憧れがありました。
進路に迷っていた時にたまたま立ち寄った本屋で見かけた赤本(大学紹介本)に、
北海道の酪農学園があって。憧れの北海道で、
しかも酪農の学校だったら大好きな牛肉をいっぱい食べられるはず!と思って入学したんです。
でも私が入った学科には、乳牛しかいませんでした(笑)。
Q.こちらの半田ファームさんで働くきっかけは何ですか?
大学を卒業した後、実家の小田原に戻ったんですが、父が他界してしまって、仕事しなきゃってなりまして、
せっかく酪農の大学出たんだから酪農の仕事探そうかなと思ったんです。そしたらここ(半田ファーム)で
実習していた後輩が勝手に「仕事探してる人いるんですけど」と社長に連絡したんです。ホント勝手に(笑)。
そしたら社長も「じゃあそいつに電話させてこい!」ってことになっちゃって。
そしてすぐに電話かけてみたんです。電話ごしに社長から
「とにかく一回来い!交通費出してやっから!」と言われまして。
会ってみたら、とりあえず来月から来いよと言われて。
父の四十九日も終わってなかったからすぐには行けなかったんですが。
でもある意味運命的な出会いでしたね。元々、ここの牧場を知ったのは、
学生のころに樋口(ミルク新聞一回目の酪農家さん)が
半田ファームのチーズを食べたいから車で連れてってと言われて。
その時はじめてここに来たんです。僕はバイトの夜勤明けだったので車の中で寝てたんですよ。
そしたら後輩たちが見学中にチーズの熟成庫の扉を壊しちゃったんです。
そしたら普通怒られるじゃないですか。でも社長が、
「ちょうど壊れるときだったんじゃねえの」って軽く流したんですよね。
それを見て「ああ!カッコイイな!って思いました。社長素敵だな。」って思ったんです。
奥さんは怒ってましたけどね(笑)。
Q.酪農の仕事をしていて1番やりがいを感じる時っていつですか?
掃除ですね!僕は。自分がキレイに掃除した牛舎のベッドに牛が入って、
気持ちよさそうに寝た時とか「よっしゃ!」って思います。
やっぱりキレイなとこにいる方が牛も気持ち良さそうですし、オレが掃除してやったんだぞ!って思えるんです。
やった分だけ返してくれるんですよ牛って。キレイにすればするほど、健康でいてくれるし、
イイ牛乳も出してくれる。搾乳しないで、ずっと掃除をしていたいくらい(笑)。
あと、牧草を刈るのはとても大変なんですけど、
刈り終わった後の打ち上げで飲むビールは最高に美味しいです。
牧草は「チモシー」「ルーサン」「オチャード」などなんですが、
うちのチーズの商品名にもなってるんですよ。
Q.これから酪農家をめざす学生や若者にメッセージをよろしくお願いします。
僕の場合は、働いてからもっと勉強してくれば良かったと思ったので、
「とりあえずやってみろ!」と。
新人にも、とりあえずやってみろ!と言っています。失敗してもいいから。
とにかく経験だから。社長に言われたのは、「毎日同じ作業だけど、毎日仕事が違うんだ」と。
やっぱり経験していくと、牛の反応が違ったり、病気になったり、分娩があったり、
天気によってできる仕事もあったりできない仕事もあったり。
どの仕事も同じだとは思うんですけど、その通りだなと思いました。
昨日30リットル出たのに、今日5リットルしか出ない。何でだろうとか。
最初は、その原因が分からないけど経験してみれば、
原因が分かってくるので。とにかく色々経験してみてと思います。
—————————————-
半田ファーム
〒089-2106 北海道広尾郡 大樹町下大樹198
TEL 01558-6-3182
ミルク新聞 vol.2